『優れた結果を得るためには、二、三、のきわめて重要な目標にフォーカスする必要がある。単に重要なものは脇によけておかなくてはならない。』、と彼は静かに言いました。この言葉を聞いたとき、なんで?と思いました。優れた結果を得るためには、そのためだけに頑張ればいいんじゃないの?と思ったからです。だって、そうでしょう?ひとつのことだけに焦点をあてずに、ふたつも、みっつものことに焦点をあてていたら、どれかが疎かになってしまう、もしかしたらすべてがちゅうとハンパになってしまう…そんな気がしませんか?それに、私はそんな器量良しじゃないから、一度に多くのことなんてできないんです。…これはいいわけになってしまいますね。でも、本当なんです。カメラだってそうでしょう?最近では技術の進化によって性能があがってきていますが、昔のカメラはひとつのものにしか焦点が合わせられなかったはずです。いくつものものに焦点をあてようとしたら、ピンボケしてしまうかもしれません。彼だってこのことは知っているはずです。それなのにどうして…と思ってしまったのです。この言葉を理解しようと深く考えてみました。そうしたら、ふたつ、みっつのことに焦点をあてる理由がだんだん見えてきた…わかってきたんですよね。ひとつだけに焦点をあてていてはいけないんだと感じました。ひとつだけに焦点をあててしまうと、そのことだけしか見えなくなってしまいます。つまり、広くあるはずの視野がひとつのことに焦点をあててしまっているだけで、狭くなってしまうんです。これはもったいないことですよね。広くあるはずのものが狭くなってしまう…。だから、彼はふたつもみっつものことに焦点をあてるように教えてくれたんだと思います。そうすれば、ひとつのことだけに焦点をあてているよりも視野が広くもてます。視野が広くなるということは考え方が豊富になると同時に、多方向から考えられることもできるんです。それってお得じゃないですか。ひとつのことにこだわることも大切かもしれません。でも、こだわりすぎてしまうと、大切な何かを見落としてしまっているかもしれません。その何かを見落とさないためには、視野を広く持つことが大切なんですね。カメラで撮った写真は最高の一瞬である思い出を残すものでもあります。だから、技術が進化して多くのものに焦点をあてることができるようになったのでしょう。ひとつだけにしか焦点が合わせることができるだけのままでは、最高の一瞬は残らないかもしれません。たくさんのモノに焦点を合わせられるようになって、本当の最高の一瞬を捉えられることができるんだと思いました。彼からもらった言葉を人間ではなく、カメラに置き換えてみることで、私は答えにたどり着くことができました。発想の転換、彼はこれも伝えたかったのかもしれません。だからあえて、わかりにくく、なやむような言葉を使って表現したんだと思います。コレばかりは彼に直接確認することができませんでしたので、私の推測になりますけれど。フォーカスという言葉を使ってさりげなく、ヒントをくれている彼の優しさが嬉しかったりします(笑)恥ずかしくて、このことも彼には確認できません。というか、彼に伝えられたのは「ありがとう」の一言が精一杯でした。私の視野を広げてくれてありがとう、私に発想の転換の必要性を教えてくれてありがとう、彼にはたくさんの「ありがとう」を贈りたいです。きっと現代のカメラが合わせられる焦点の数は私たちが持っている視野の広さと比例しているのかもしれませんね。
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